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文芸|旅行記|美術・建築
ブルース・チャトウィンが「聖典」と呼び、グレアム・グリーンやイーヴリン・ウォーが賞賛した戦間期の傑作紀行文学がついに本邦初訳。
ブルース・チャトウィンによる解説「アフガニスタン哀歌」を併録。
戦間期の1933年、才気煥発な20代の青年ロバート・バイロンは、イスラム建築の源流をもとめて、地中海からペルシャをめぐり、アフガニスタン北部〈オクシアーナ〉と呼ばれる地をめざす――
未だ見ぬ異国の美と精神への渇望につき動かされつつ、その地の風土・文化・人心を犀利な批評眼で描き切った旅の記録。
◎「ガーディアン」紙が選ぶオールタイムベストノンフィクション100
【推薦】
湿潤の日本を逃れて、この乾燥と砂の高地に行きたい。
荒い男たちがいて、遺跡があって、旅路の果てにヘラートの豪奢がある。
更に先、遂にオクサス川の水に身を浸す、アレクサンダー大王のように。
――池澤夏樹
戦間期において、小説には『ユリシーズ』があり、詩には『荒地』があったように、旅行記には『オクシアーナへの道』があった。
――ポール・ファッセル
【著者紹介】
ロバート・バイロン(Robert Byron)
1905年イギリス生まれの作家、歴史家。上位中産階級の出身で、詩人のバイロン卿とは同姓だが、直接の親戚関係はない。オックスフォード大学(マートン・カレッジ)卒業後、ギリシャを旅した記録をまとめて、東方世界の美術・建築に詳しい旅行作家として頭角を現す。旅の範囲はインド、チベット、ロシアにも広がったが、最大の成果と見なされるのは、地中海東部からペルシャ、アフガニスタン北部への旅を記録した『オクシアーナへの道』(1937年)で、グレアム・グリーンやイーヴリン・ウォーの賞賛をうけ、ブルース・チャトウィンは自分の「聖典」だったと語った。1941年、乗っていたエジプト行きの船が、ドイツ軍の魚雷攻撃を受けて沈没。享年35。
【訳者紹介】
小川高義(おがわ たかよし)
1956年横浜生まれ。東京大学大学院修士課程修了。翻訳家、東京工業大学名誉教授。著書に『翻訳の秘密』(研究社)、訳書にH・ジェイムズ『デイジー・ミラー』(新潮文庫)、J・ラヒリ『停電の夜に』(新潮社)、E・ヘミングウェイ『老人と海』(光文社古典新訳文庫)、E・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』(早川書房)など。
【仕様】
四六判
416ページ
並製カバー装
ISBN978-4-910413-12-9
ブックデザイン:須田杏菜
見返し地図:マップデザイン研究室